「除雪機のオーガとブロア(除雪機前方にある除雪作業をする回転刃と羽根)が回らずに雪が飛ばない!」
「エンジンは動いているのに全く走行しなくなった!」
このような場合、マニュアルを読むと「Vベルト(オーガベルト&走行ベルト)」が伸びたり、切れているのかもしれないと記載があります。
果たしてVベルトの交換は誰でも可能なものなのでしょうか?
この記事では「Vベルトの交換は誰でも可能なのか」について考え、「Vベルトの寿命ってどれくらいなの? Vベルトの定期交換はいつすればいいの?」という疑問に答えます。
結論から言うと、Vベルトの交換は誰でも出来ますが、複雑で面倒なのでかなり時間がかかります。
自分でやっても良いけど、時間があるときに根気よくやるしかないですね。面倒なので業者に任せてしまう人が多いのも事実です。
私が除雪機を実際に使ってみた感覚だと、Vベルトは1年に1mm減るイメージなので、だいたい3年から5年を目途に交換したほうがよさそうですね。
除雪機のVベルトは誰でも交換出来るの?
【1】除雪機のVベルトの交換は自分ですべきか? 修理業者に任せるべきか?
Vベルトの交換は自分でするに越したことは無い!
「ちょっとした部品の交換ならともかく、マニュアルを読むとVベルトの交換って大変そうだけど、本当に自分で出来るの?」
除雪機初心者の方ならこんな風に思う人もいるんじゃないでしょうか。
ハッキリ言って「Vベルトの交換は(基本的には)誰でも出来ます!」。また、Vベルトの交換は自分で出来た方が望ましいです。
少なくとも小型除雪機レベルであるならば、Vベルトの交換は決して専門修理ではなく、あくまでも部品交換の範疇となる作業だからです。除雪機との長い付き合いを考えるのであれば、このレベルの修理は自分でやれた方が維持費の大幅な節約となります。
Vベルトの交換はかなり大変な作業!
「Vベルトの交換は誰でも出来る!」と言いましたが、Vベルトの交換作業は、慣れるまではかなり大変な作業ですし、慣れても決して楽な作業ではありません。
重くて大きい除雪機の本体と、オーガハウジング(除雪機前方にある、雪を集めて取り込むオーガカバー)とを分離して交換する作業です。大変じゃない訳がないのです。
Vベルトの交換を修理業者に任せる人は少なくない
そんな大変な作業となるVベルト交換ですから、「除雪機を前後に分離させるなんて怖くて無理!」と心配な人や体力的に難のあるお年寄りは、諦めて修理業者に任せる人も少なくありません。
ですから、自信のない人は「修理業者に頼む」。やる気のある人は「自分でする」。それが除雪機のVベルト交換作業なのです。
【2】除雪機のVベルトはいつ交換するのか?
まず押さえるべきは「Vベルトは丈夫」かつ「オーガ用Vベルトは大きい」ということ
Vベルトの交換を初めて考えた人にまず言いたいことは、「Vベルトはかなり丈夫にできている」ということです。
Vベルトの現品を手に取ったことのある人なら分かると思いますが、Vベルトのゴム強度はかなり硬いです。オーガベルトの場合、小型除雪機用でも厚さ1cm近くあります。
つまり、「Vベルトはちょっとやそっとでは伸びたり切れたりしない」ということなのです。使用頻度の差はあれど、基本的には半年や一年くらいでどうにかなるものではありません。
加えて、走行用Vベルトと違い、オーガ用Vベルトのサイズは「あえて大きく作ってある」ということです。後でも説明いたしますが、オーガ用のVベルトは大きく緩めのサイズになっており、除雪用クラッチレバーを握ると、その大きなサイズのベルトが動力部に押し付けられてオーガが動き、クラッチレバーを離すと、元々大きなサイズのベルトが自然に動力部から離れ、オーガが止まるという構造になっています。
そのため、除雪機初心者が初めてオーガ用Vベルトをチェックすると、大きなサイズになっているのを「ベルトが伸びた?」と勘違いしがちです。
除雪機初心者の方は、まずはVベルトはそういうものだということを理解してください。
Vベルトの前にクラッチワイヤーを疑え!
「オーガが動かない」・「走行しない」という不調が出た場合、まずは除雪用と走行用の「クラッチワイヤー」をチェックしてみてください。
Vベルトの回転動力を除雪機本体に伝えるのが、Vベルトの上部に存在する「プーリー」という銀色の円形部品です。高速回転しているVベルトを、オーガや走行の出力軸に押し付けることにより動力を発生させるのがプーリーの役割。
そのプーリーを上下に動かすのが「クラッチワイヤー」です。ですからそのクラッチワイヤーに不調が出た場合プーリーが動かず、Vベルト自体に問題がなくとも動力が除雪機に伝わらず、オーガが動かなかったり走行しないという状態になります。
ですから、オーガや走行の不動作という不調が出たときは、まずはクラッチワイヤーの張りに緩みがないか、クラッチワイヤーが伸びたり切れたりしていないかのチェックをしてみてください。クラッチワイヤーに異常がないことが確認出来たら、次にチェックするのがVベルトになります。カバーを取り外し、Vベルトに異常がないかどうかを確認してください。
ただ、一つ付け加えたいことがあるのですが、Vベルト(オーガベルト)は伸びたり切れたりしなくとも、ごくまれに「外れてしまう」ことがあります。除雪機の態勢やクラッチワイヤーの張り具合等、様々な要因が瞬間的に除雪機に負荷をかけ、クラッチレバーを離した瞬間にVベルトが外れるというトラブルが稀に起きることがあるのです。カバーを取り外してVベルトをチェックすると、そういうことがあるかもしれないことだけお伝えしたいと思います。
Vベルトの定期交換は数年に一度でいい
既に説明した通り、Vベルトはかなり丈夫です。ただし当然のことながら、いずれは不調が出ます。具体的にはベルトの厚みがすり減ったり、そのために「伸びた」ような状態になったりということです。
では、Vベルトの定期交換はいつすべきなのでしょうか? もちろん「除雪機の使用頻度で左右される」ということになりますが、こちらも既に述べたように、1年や2年ですり減るということは滅多にありません。
以前、メーカーのカスタマーサービスに「オーガベルトは、新品状態からどのくらいすり減ったら交換しなければならないのか?」と尋ねたところ、「3分の1くらい減ったら」という返事が返ってきました。つまり、約1cmのゴムベルトの厚みが7mmくらいになったらということになります。
ちなみに豪雪の年に、除雪機を1シーズン稼働させたらオーガベルトはどのくらい摩耗するのかチェックしてみたところ、概ね1mm程度でした。
以上のことからお分かりいただけると思いますが、Vベルトの定期交換は数年に一度で問題ありません。もちろん除雪機の使用頻度が少なければ交換スパンも比例して伸びます。目安としては使用頻度がかなり多い場合で3年程度。それほどでなければ5年くらいは大丈夫だと思います。
【3】除雪機のVベルト初交換の前に注意すべきこととは?
Vベルトの交換は単純作業である
いざVベルトの初交換! となった時、まず頭に入れておくべきことは「Vベルトの交換自体は単純な作業」であるということです。
とにかく大変なVベルト交換ではありますが、実際に大変なのは除雪機本体とオーガハウジングの分離作業と接続作業の方です。重量のある者同士を動かす訳ですから、重たい上になかなか上手く接続できないと、慣れるまでは大変な作業となります。
また、Vベルトの交換に関しても、ベルト交換のための内部部品の分解をする際、除雪機の稼働による汚れやゆがみの影響でなかなか上手くいかないこともあります。
ですが、それらは除雪機の稼働により発生した間接原因による作業であり、作業そのものは全て単純作業で成り立っています。
「こんなの出来ない!」ではなく「単純だから時間をかければ必ず出来る!」と、根気よく作業してください。
初心者は動画やネットでイメトレしておこう!
Vベルト交換の手順自体はマニュアルに記載されてありますが、初めての場合、いざやってみると戸惑うことの連続のはず。そんな不安を少しでも和らげるために、交換作業を撮影したネット動画などをチェックしておきましょう。
自分の目で交換作業を確認することは、イメトレとして非常に役立つと思います。
Vベルトの交換は時間と家族に余裕がある時に!
Vベルトの交換で大変な「本体とオーガハウジングの分離と接続」ですが、一番いいのは無理せず家族や友人に手伝ってもらうことです。ベルト交換に関しても、たとえ何か自分ひとりの手では余ることが起きても、誰か一人手伝ってもらうだけでかなり楽に出来ると思います。
また、慣れないと時間もそれなりにかかりますので、出来るだけ天気のいい日を選んだ方がいいと思います。
ただ、除雪中に不具合が発生した場合、そんなことは言ってられないかもしれません。その日の除雪は諦めるか、もしくは狭い保管スペース内での作業を強いられます。そんな事態にならないように、
除雪機の状態には常日頃注意してください。
まとめ
除雪機のVベルトについて、述べてきたことをまとめます。
- Vベルトの交換は慣れていてもかなり大変
- 面倒なことが嫌いなら業者に任せた方が安心
- Vベルトを疑う前にクラッチワイヤーの不調を疑え
- Vベルトの交換は3年から5年くらいの周期でよい
要するに「根気よくやれば素人でもVベルトは交換できる」ってことですね。
また、オーガの不動や前後進の不調はクラッチワイヤーに原因がある可能性もお忘れなく。
とは言え、もともと機械いじりが好きな人や、その種の職業に就いている人でもない限り、除雪機の分解を必要とするVベルト交換のような作業は、普通の生活を送る一般人にはなかなか縁のない作業なのは確かです。
ですが、除雪という重作業を除雪機で楽に行おうと考えるならば、この作業からは逃れられません。もちろん全て修理業者任せにも出来ますが、これも「除雪機ライフ」の一環と考え、一度チャレンジしてみてください!
ちゃんと調べながらやれば、できます。