除雪機の購入を考え始めた時、最初に考えるべきことはなんでしょうか……。
- 大きさ?
- 機能?
- 予算?
もちろんそれらは大事です。ただ最初に考えるべきこと、それは「保管場所」の確保だと私は思います。
なぜなら除雪機はシーズン以外の時間が長く、1年のうちほとんどが「保管期間」だからです。そして、この「保管期間(保管場所)」が除雪機の寿命を左右する重要なポイントなんです!
車庫や農機具小屋に余裕がある方は何の問題もありませんが、そうではない方の場合「何とかなるさ」ではいけません。
除雪機はクルマと違って雨や風に弱いです。野ざらしにしておくと、すぐにサビてしまうので注意が必要。除雪機は「農機具」なので雨や風を防ぐように保管しましょう。
今回は除雪機の保管についていろいろ考えていきます。
除雪機はどこに保管したらいいのか考えてみた
【1】除雪機の保管場所はどこにすべきなのか|「野ざらし」がNGな理由
(1)除雪機は自動車とは違う! 除雪機はすぐにサビます
除雪機の保管場所を考える時、もしかして「ウチは自動車も青空駐車だから……」とか思っていませんか? 除雪機は自動車とは根本的に違います!
どちらかと言うと除雪機はバイクに近く、さらに言えば、本来「農機具」扱いなんです(トラクターなんかと一緒です)。
除雪機メーカーの大半が実は農機具メーカーです。それゆえ、基本的な構造は農機具とほとんど同じになっています(さらに除雪機二大メーカーのHONDAとYAMAHAはご存知の通りオートバイメーカーでもあります)。
したがって除雪機をこれから購入しようとしてる方、もしくは既に購入済みで何となく自動車と同じように考えていた方。すぐに考え方を改めましょう!
除雪機は農機具です!
自動車の重要な機械構造部分は鉄やアルミなどのボディで覆われており、足周りもかなりの耐久性で作られています。
ですが、除雪機は軽量化やコスト面の問題で、自動車ほどの耐水耐久性を計算して作られていません。自動車と同じように考えていると、わずか1~2年で錆だらけのボロボロになってしまいます。
(2)除雪機の保管は屋根のある場所が基本!
「除雪機は農機具と同じ」ということがお分かりいただけたら、では、どこに保管すべきなのでしょうか?
それは「屋根のある場所」です。具体的には「車庫や農機具小屋などの屋外施設」ということになります。
もちろん室内がベストですが、メーカーも除雪機の保管に関しては、基本的には車庫や農機具小屋を想定しています。ですから除雪機の保管場所は「屋根があって四方(もしくは三方)を壁に囲まれている」場所というのが基本になります。いわゆる「野ざらし」状態は絶対にいけません。
「雪が降っていても除雪するじゃないか!」と思われる方もいるかもしれませんが、それはあくまでも除雪中という短時間のこと。除雪機にとっては、除雪中よりもそれ以外の時間の方がはるかに長いのです。降雪期以外のオフシーズン等の「稼働時間以外の保管時間」をどう過ごすかで、除雪機の寿命は大きく左右されます。
(3)業者保管という手段もある
そうは言っても車庫スペースの空きや農機具小屋などは、どこの家にでもあるというものではありません。
そのため、オフシーズン時に除雪機の「保管サービス」を行っている修理業者も存在します。預かり状態のままで保管だけしてくれる場合もあれば、預かり時の点検修理も併せて行うサービスもあり、一般家庭では大変な除雪機の自宅搬出入も行ってくれます。
オフシーズンの除雪機保管に困っている方は、ぜひ検討してみてください。
【2】除雪機の保管は土や砂利の上でも大丈夫なのか?|ダメです!
(1)屋根付きと言えども下が土の地面では効果半減!
屋外に設置する物置の中には自転車やバイクの保管を想定し、物置の底面がむき出しのままになっているモデルもあります。
そのようなモデルの物置に除雪機を保管する場合、地面がコンクリートの場合はそれほど気にする必要はないのですが、土や砂利などの地面の場合は注意が必要です。
雨風はしのげたとしても、地面から出てくる湿気がダイレクトに除雪機を襲うからです。特殊機械の除雪機にとっては、水だけでなく湿気もサビを生みだす大敵になります。
除雪機の底面は自動車と違い、基本的にはむき出し構造のものが大半です。そのために下面が土や砂利の場合、そこから発生する湿気がダイレクトに除雪機の構造部分を襲うのです。
(2)除雪機はコンクリートの上に置くべし!
除雪機にとって地面からの湿気は保管時の大敵です。
現在、除雪機を保管している場所の地面が土や砂利でしたら、保管場所をコンクリート地面に移動したり、もしくはDIYでコンクリート舗装することを一度検討してみてください。
どうしても舗装出来ない場合は、最悪、除雪機と土の地面の間に防水シートを敷き、定期的に防水シートの様子をチェックするという方法もあります。
ただし、屋根や壁のない「野ざらし」保管の場合、除雪機の下に防水シートを敷くことは、かえって除雪機の下に水分を溜める行為になりますので、絶対にしないでください。
(3)意外に使える! ケージ型簡易車庫
「室内倉庫があるけど、そこまで除雪機を移動するのは……」
「物置はあるけど段差が……」
そのような方におすすめなのがケージタイプの「簡易車庫」です。
メッシュパレットの金網ケージにキャスターが付いている簡易型車庫は、エンジンをかけずに除雪機を移動出来るという点でかなり便利ですし、どのような局面でも有効に働くアイテムだと思います。
また、防水シートでケージを覆えば、仮に野外保管しか出来ない場合でも(下が土ではない限り)、除雪機を最悪の状態から救うことが出来るでしょう。
【3】オフシーズン期の除雪機保管の注意事項は?
(1)潤滑油やグリス塗布等のオフメンテは絶対!
冬が終わり「除雪機の出番は終了」となったら、いよいよ除雪機にとっての大事な期間となるオフシーズン期に突入します。
オフシーズンの長期保管に入る前には、必ずマニュアルを確認し、除雪機各部のメンテナンスを行ってください。具体的には機械部分やボルト等への潤滑油やグリスの塗布作業となります。この作業を怠ると、降雪シーズンになって除雪機を稼働させようとした時に不具合が出る可能性が非常に高いです。
また、マニュアルに従い、バッテリーの再充電や取り外し、ガソリンやオイル燃料の取り扱いに関しても必ず忘れずに、かつ適切に行いましょう。
(2)防水カバーは必須! 出来たら防水シートも
長期保管に入る前のメンテナンスが完了したら、除雪機には必ず防水カバーをかけましょう。
いかに保管場所が屋根や壁に覆われていたとしても、湿気を完全に遮断できる訳ではありません。防水カバーをかけることにより、長期保管時の湿気の心配は格段に減少します。
また、念には念を入れる場合は除雪機の下に防水シートを敷けば、四方を防水カバーで覆われる訳ですから、長期保管時の防水対策としてはほぼ完ぺきと言えるでしょう。
ただし、防水シートを敷くのはくれぐれも下面が土や砂利でない場合に限ります。
(3)梅雨が終わったら再チェック!
オフシーズンの長期保管期間で、最も湿気が多い時期は言うまでもなく「梅雨」の時期です。
保管前のメンテナンスをきちんと行った場合でも、梅雨開けしたら一度防水カバーを外し、カバーの天日干しをした上で除雪機に再度潤滑油の塗布などを行えば、除雪機の保管対策としてはさらに有効となります。
まとめ
今回は除雪機の「保管」というテーマでいくつか解説しました。まとめると以下の通りです。
- 除雪機は自動車と違ってサビや湿気に弱い
- 除雪機を野ざらしの状態で保管すると寿命が縮む
- 除雪機は上下左右を囲い、雨や風はもちろん湿気からも守るべき
一般的に除雪機は高額なため、「こんなに高いんだからちょっとくらいは雑に扱っても大丈夫でしょ?……」と、ついつい思いがちですが、逆に「こんなに高いんだから大事にしなきゃ」と考えなければならないのが除雪機です。
農家の方にとっては農機具のメンテナンスも「農作業のうち」ですが、除雪機ユーザーにとっては、除雪機の適切な保管とメンテナンスも「除雪のうち」だとは普通思いませんよね?
除雪機の特性をよく理解し、除雪機を長持ちさせる快適な除雪機ライフを送ってください。