意外にテキトーな人が多くてビックリするのが除雪機の「オイル交換」について。
「自動車と違ってそんなに長距離を走るワケじゃないんだから交換しないでしょ……」
「え? そもそも除雪機のオイル交換って必要なの?」
みたいなゆるい認識の人がめちゃくちゃ多いです。
いやいや、ダメですよ! オイル交換しないと!
むしろオイルの量が少ない除雪機こそオイル交換必要だから!
という訳で、今回は除雪機の「オイル交換」について、最低限知っておいて欲しいことをまとめました。参考にしてもらえれば幸いです。
「そもそも除雪機にオイル交換は必要なのか?」という疑問から説明して、オイル交換の「時期」や「頻度」について解説します。
除雪機のオイル交換はどのくらいの頻度でしなければならないのか?|「50時間」問題を考える
除雪機の「オイル交換」はなぜ必要なのか
「交換しない人」って結構な割合でいるんですよ。
それが除雪機の「オイル交換」。クルマのオイル交換はするのに、なぜ除雪機はしないのか。絶対にオイル交換は必要です。除雪機だろうとクルマだろうと、エンジンがあるのでオイル交換は必要です。
そもそもなぜ「オイル」を入れるのか?
およそ「エンジン」と名のつくものには、エンジンオイルが入れられていることは大概の人が知っています。
ですが、全ての人がその役割をキチンと理解している訳ではありません。そのために「交換しなくてもいいんでしょ?」となってしまうんですよね。
まずはエンジンオイルの役割について、ここでおさらいしましょう。
1.潤滑作用
エンジンブロック内の金属部品の摩擦を、オイルで滑りやすくして軽減します。
2.密閉作用
エンジン内のピストンとシリンダーの隙間を密閉し、燃焼効率を良くすることでエンジンの動力ロスを少なくします。
3.冷却作用
文字通り、オイルでエンジン内を冷却する効果です。
4.錆び付き防止作用
エンジンブロック内の水分をオイルで洗い、エンジン内の錆びを防ぐ効果です。
5.洗浄作用
エンジン内の金属部品が摩擦することによって発生する鉄粉を、エンジン内から洗い落す効果です。
エンジンオイルにはこれだけの効果があります。
つまりオイル劣化によりこの効果が徐々に失われていくと、エンジン内もそれに比例して徐々に傷みだすということになるので、最終的には故障するのです。
結論!
オイルを交換しないと、エンジンは故障します!!
除雪機の「オイル交換」が自動車の「オイル交換」より重要な理由
除雪機のオイル交換をしない人の大部分の人が理由にあげるのが、
「自動車と比べてそんなに走るワケじゃないし……」
「エンジンだってそんなに大きくないから……」
ということだと思います。
全く間違っている訳ではないんですけど、根本的な前提が違うんですよね……。
除雪機は、軽量化や構造上の問題でエンジンオイルの入る量が少ないんですよ!
ザックリ言うと、普通自動車が約4~5ℓ、軽自動車が2.5~3ℓ入るところ、除雪機のエンジンオイルの注入量は、0.6~1ℓくらいです。
つまり、オイルが汚れたり、粘度が落ちたりする速度が、自動車と比べると早いんです!
ちなみにオイルの量と汚れる速度、それに伴うオイル交換の必要性は、普通自動車より軽自動車の方が高いということでも同じです。
結論!
除雪機は、ある意味自動車以上にオイル交換をしなければなりません!!
エンジンオイルの交換作業について
次にエンジンオイルの交換作業についてご説明します。
とは言っても、具体的な交換作業の手順については、マニュアルを確認していただくとして、ここでは、エンジンオイルの交換についての「よくある疑問」についてのご説明です。
交換頻度の目安は「年一」?
エンジンオイルの交換頻度についてですが、基本的にはどのメーカーも
- 新品使用時は20時間運転の後に交換
- その後は50時間ごとに交換
となっています。
しかし、中には2回目以降も20時間ほどで交換するという人もいるようです。
実際、そのくらいでオイルは結構真っ黒になったりします。
この辺りは自動車のオイル交換と似ていて、例えばイエローハットやオートバックスだとオイル交換は3,000kmで交換とか言いますよね?
それはやや大げさにしても、ディーラーなども5,000kmで交換を推奨するところが多いです。
しかし、JAFの推奨交換頻度は10,000kmなんですよね……。
つまり、要は考え方の問題です。
自動車ならば、エンジン効率の問題で考えれば5,000kmで交換した方がいいのかもしれませんが、故障するしないで考えるならば10,000kmで大丈夫ということです。
除雪機に関しては、やはり自動車ほどエンジンを高回転で回す訳ではありませんから、基本的にはメーカー推奨の交換頻度を守れば問題ないと思いますし、修理業者の意見も概ね同様のようです。
そうなると「1年で50時間も除雪しないから、次の年もそのまま使っていい?」という疑問が出てきます。また、マニュアルに書いていなくとも、除雪機は「半年に一度はオイル交換」というセオリーもありますが、すると今度は、「シーズンオフの保管期にも交換しなきやいけないの?」という疑問も生れたりします。
この「50時間」・「半年」問題に関しては、一番無難なのは「両方守った方がいい」ということになります。
例えば北海道などの豪雪地帯だとワンシーズンで50時間除雪することもあると思います。そういった場合は当然、シーズン中に交換する必要があります。しかし、本州ですとワンシーズン50時間の除雪はなかなかしませんよね? そういった場合は当然シーズン中の交換はしません。
問題はオフシーズン期の扱いですが、一番無難なやり方が、
- 保管期に入る前のメンテナンスの時に一度交換する
- 除雪シーズンに入る直前にさらにもう一度交換する
ということです。
「保管期は除雪しないのに?」と思われるのは当然ですが、やはり内部でオイルが劣化していますからね。そのまま除雪シーズンを迎えるのには不安があります。
二回も交換するのは手間がかかる!と思われる方は、保管期に入る時のオイル交換はしないで、除雪シーズン前に交換すればいいと思います。
汚れたオイルをそのままに半年以上放置するのは、良くないと言えばもちろん良くないのですが、「故障するかしないか」で考えれば、実際にエンジンを回す訳ではありませんから、除雪シーズンが終わって、そのままエンジンオイルを交換しなくとも、そのこと自体に極端な問題はありません。
結論!
エンジンオイルの交換はシーズン終了時とシーズン前の年2回がベターだが、シーズン前の年1回でも大丈夫!!
本来はドレンから抜くべきだが……
エンジンオイルを抜く際、マニュアルではドレンからオイルを抜くように指示されていますが、中にはドレンからではなくオイル注入口から、専用のオイルポンプで抜く人もいます。
確かにポンプで抜いた方が手間も簡単だし、汚れないし、後始末も楽だしと、いいこと尽くめなんですよね。
ただ、ドレンから抜かないと、オイルを完全に抜くことはなかなか困難です。つまり、ポンプ抜きの場合、汚れたオイルが若干オイルタンクに残留するということになります。
汚れたオイルがエンジンに良くないことは既にご説明した通り。ですから、本来はドレンから完全にオイルを抜くことがセオリーです。
ただ、汚れたオイルがわずかに残留していても、その上からニューオイルを注入する訳ですから、一応、OKはOKなんですよね。ちょっと汚れていてもすぐ故障したりするワケではないですし。この辺りは考え方次第だと思います。
結論!
こまめにオイル交換をするならば、ポンプでオイルを抜いても大丈夫!
オーガミッションオイルの交換について
最後にごく簡単に、除雪機のもう一つのオイルの説明をします。「オーガオイル」です。
普通は「年一」で問題ない
オーガミッションの潤滑油である「オーガミッションオイル」ですが、これはエンジンオイルと違い、潤滑油としての役割しかないと言っても過言ではありません。それゆえに、その作業は「交換」と言っても実際は追加の「注入」です。
マニュアルでもそのほとんどが、保管期に入る前のメンテナンス時に追加注入するように指示されていると思います。
エンジンオイルの交換でご説明したように、ワンシーズン50時間以上除雪するような場合は、シーズン中でも追加注入した方がいいと思いますが、そうでない場合は保管期前に一度注入すれば問題ないと思います。
オイルかグリスかはマニュアルで要確認
除雪機のオーガオイルには、ギアミッションオイルを注入するタイプの方が多いのですが、オイルではなくグリスを注入するタイプもあります。その場合グリスガンが必要となりますので、いずれにせよ事前にマニュアルで確認してください。
まとめ
除雪機の「オイル交換」についてご説明しましたが、これまであまりしてこなかった方にも、オイル交換の重要性がご理解いただけたら幸いです。
自動車の場合は最低でも、車検時に業者から交換を促されるケースが多いですから、最悪な事態にならないことが多いのですが、除雪機は修理業者に出さない限り、オイル交換は自己判断になります。
そのため、交換しないという人が多くなってしまうのですが、そのせいでエンジンが壊れて、業者に修理に出すようでは本末転倒です。
除雪機のオイル交換は必ず行ってくださいね!