買い物をする時、どのメーカーの商品を選べばいいか迷ったら「とりあえず売れているものを」と誰でも考えますよね。
深い商品知識が無い場合、”大メーカー”を選ぶことは失敗しない買い物の一つの手段と言うものです。
では、除雪機は、実際どのメーカーのものが売れているのか?今回は除雪機メーカーの販売シェアと、それら注目メーカーの情報を調べてみます。
除雪機はどのメーカーが売れているの? メーカー販売シェア比較!
除雪機のメーカー別販売シェアはどうなっているの?
まずは、除雪機メーカーの販売台数シェアがどうなっているのかチェックします。
ホンダとヤマハの2大メーカーの販売シェアは?
除雪機2大メーカーと言えばホンダとヤマハですが、実は、現在国内での販売台数はこの2社で80%と、業界シェアの多くが占められています。
つまり、国内で除雪機を購入する人の大部分がホンダとヤマハの2大メーカーを選んでいるという訳です。
中でも業界トップのホンダの販売シェアは驚異の60%! 業界唯一の「ハイブリッドエンジン搭載モデル」を大きな武器とするホンダは、2004年にトップシェアとなって以降、14年連続で業界1位の座を守り続けています。
中でも北海道を筆頭とした豪雪地帯ではホンダのハイブリッドモデルの人気は圧倒的!
近年の豪雪状態が、ホンダのシェアをさらに伸ばす結果となっているのです。
かたや業界2位にして20%のシェアを持つヤマハですが、ホンダには販売台数で3倍もの大きな差をつけられています。
しかし、日本最大のホームセンター企業であるコメリと販売契約を結び、その強力な販売ネットワークに支えられていることに加え、2018年にはバイク部門でついにハイブリッドエンジンを発表したことから、今後のヤマハ除雪機には大きな注目が集まっています。
残り20%の販売シェアは14メーカーで分け合っている
農機具のメーカー団体である日本農業機械工業会の下部組織に、除雪機メーカーの団体である除雪機安全協議会が存在します。
加盟企業数はホンダ・ヤマハを含む全16社。この16社が日本で除雪機を製造しているほとんどのメーカーということになります。
つまり、ホンダ・ヤマハを除く販売シェア20%は、残りの14メーカーがほぼ販売しているということです。
しかし、残念ながら現在、除雪機安全協議会と監督団体である農林水産省は、除雪機のメーカー別販売台数の詳細データを公表していません。しかし、各メーカーは独自にデータを掴んでいますので、ホンダ60%・ヤマハ20%のデータは概ね間違いないと思います。
そこで「ホンダ・ヤマハ以外の14メーカーで一番売れているメーカーは?」という疑問が出てきますが、この”業界3位”に対する答えが非常に複雑で難しいのです。
業界3位はどこなのか?ホンダ・ヤマハ以外で、今、伸びているメーカーはどこか?以下で説明していきます。
2大メーカー以外の除雪機メーカーは?
ここでは、ホンダ・ヤマハの2大メーカー以外の除雪機メーカーをご紹介します。”業界3位”はどこなのでしょうか?
【隠れ業界1位?】和同産業
1961年に国内初の除雪機を開発したメーカー、それが岩手県に本社を持つ和同産業です。
「なんだ田舎の古い会社か……」と思うなかれ! 和同は、現在、業界トップであるホンダ除雪機の「全製品」のOEM生産を担当している会社なのです。
つまり、ホンダ除雪機から独自機能(ハイブリッドエンジン・クロスオーガ等)を取り除くと、和同の除雪機になるという理解で問題ありません。
しかも、ホンダだけに限らず、現在、クボタとヤンマーの除雪機にもOEM供給しており、過去にはヤマハのOEMもしていた和同。
各メーカーの製造を長年請け負っている技術力の高さに加え、特許に関連しない部分での技術フィードバックがあるため、和同オリジナルブランドの除雪機の基本性能は業界トップレベルです。
「中大型除雪機”製造”高日本一」を掲げる和同は、間違いなく除雪機の国内トップブランドと言えます。
【農機具の雄!】クボタとヤンマー
除雪機メーカー団体が農機具団体の下部組織であるということから分かるように、元々、除雪機は農機具が発展したもの。
当然、農機具メーカー販売1位・2位のクボタとヤンマーも除雪機を販売し、農機具で培ったノウハウを除雪機製造にも活かしています。しかし、現在では大きく販売シェアを減らしたこともあり、製造面では和同産業に大きく依存しているというのが実情です。
そのため、クボタとヤンマーの除雪機は、どこかしら和同の除雪機に似ています。
現在は、元々、クボタやヤンマーの農機具を所有している農家の方が購入しているというのが実際のようです。
【ベンツだけじゃなく?】ヤナセ産業
ベンツでお馴染みのヤナセですが、その子会社であるヤナセ産業が主力商品として販売しているのが除雪機です。全国各地のヤナセ修理工場ネットワークを活かしたアフターメンテ体制が売り物となっています。
しかし、やはり他メーカーと比べて特筆する特徴はあまり見られないためか、そこまで大きな存在感はなかなか示せていないようです。
【南極やフィンランドで導入!】フジイコーポレーション
新潟県に本社を置くフジイコーポレーションは、除雪機の設計から開発・製造までを全て自社で行い、大企業には無い一体感のある開発システムを構築しています。
その基本性能の良さが認められ、JR各社、東北・北陸・関東・中国と各地の国交省地方整備局、航空自衛隊千歳基地、さらに日本・イギリスの南極観測基地と、官公庁的な場所に大きな納入実績を誇っています。
また、変わったところでは、”サンタクロースの村”として知られるフィンランドのサンタビレッジにも”サンタ”公認除雪機として納入されています。
それらの納入実績が評価され、平成25年には「国内販売・輸出共にシェア第3位」を名乗る躍進を遂げているのです。
除雪機の隠れた優良メーカー!
ここからは少し変わった除雪機メーカーをご紹介いたします。みな、それぞれに大きな特徴を持った除雪機メーカーです。
【コスパ最高!】ハイガー産業
最近、除雪機の世界で大きな躍進を遂げているのが、群馬県に本社を置く中小企業であるハイガー産業です。
このハイガー産業の最も大きな特徴は、製造拠点を中国にしていること。その理由はもちろん製造コストを抑制し、販売価格を抑えるためです。
当初は「中国製なんか…」とバカにされていたハイガーでしたが、価格の安さから販売台数を徐々に上げていき、現在では除雪機のネット販売部門で第一位になるほどに成長しています。
ただ、ハイガーの除雪機は販売のほとんどをインターネットで行っているため、組み立てからメンテナンスまでは、基本的には自分で行う必要があります。
しかし、価格面での安さは他のメーカーを圧倒しているため、それでもハイガーを選ぶユーザーは多く、また、電話でのカスタマーサービスにも力を入れていることから、購入したユーザーには概ね高評価を受けています。
ただ、中国製うんぬんではなく、製造コスト自体を抑制しているため、大メーカーの除雪機よりはやや故障しやすい面は否めなく、ユーザー自身による部品交換やメンテナンスは必須となります。
しかし、家の周りや店舗の駐車場レベルの除雪であれば、全く問題ないレベルの性能がありますので、今後もますます国内シェアを伸ばすのは間違いありません。
ちなみに既にご紹介した和同産業は、以前は「除雪機製造高日本一」を掲げていましたが、最近は「中大型除雪機」と小型除雪機部門の製造一位でなくなったことを暗に表明しています。これはもしかするとハイガーの影響なのでは…と言われています。
【ヤマハの除雪機?】共立(株式会社やまびこ)
実はこの共立は、既にご紹介した除雪機安全協議会に加盟していない除雪機メーカーです。
となると、「二流・三流の信用出来ないメーカー?」と思われるでしょうが、この共立の母体となる株式会社やまびこは東証一部上場の大企業!
「B to B」、つまり”ビジネス トゥ ビジネス”で他のメーカーに商品を製造し納めることをメインとした機械製造メーカーなのです。
その共立は、現在ヤマハ除雪機のOEM生産を行っています。そのため共立ブランドの除雪機を確認するとほぼヤマハ除雪機!
ただし、共立は一応、自社ブランドの除雪機を発表してはいるものの、販売自体にはそれほど力を入れていない模様で、除雪機安全協議会に加盟していないのも、その辺りに理由があると思われます。
まとめ
日本の除雪機と言えばホンダ・ヤマハだけと思われるほど、突出した存在の二大メーカーですが、それ以外にも隠れた優秀なメーカーが存在することがお分かりいただけましたか?
現在、二大メーカーに続く国内シェア第3位を争っているのは、おそらく「和同産業」「フジイコーポレーション」「ハイガー産業」であると思われますが、それぞれが独自の戦略に基づいた地方中小企業であることに気づいた人もいるはず。
除雪機における国内市場では、大メーカーは既にホンダ・ヤマハに対抗することを事実上断念し、その間隙をついて、中小企業が除雪機市場での躍進を狙っているのです。
除雪機の購入を検討されている方に、今回の情報がお役立ちになれば幸いです!