除雪機の購入に助成金や補助金の制度があることは、割と広く知られています。
「除雪機買うのにお金貰えるの?!」と驚く方も中にはいるのですが、制度としてちゃんと存在するので条件を満たせば本当に貰えます。
ただし、誰でも貰えるという訳ではありません。ここがミソ。少なくとも「個人」では貰えないので注意が必要です。そりゃあ、除雪機買うお金もらえるならみんな買ってますよ、除雪機。
今回は除雪機購入に関する助成金や補助金について、分かりやすく解説します。
除雪機の助成金は個人では貰えません!|除雪機購入の助成金・補助金制度について分かりやすく解説する
除雪機購入の助成金・補助金制度とは?
除雪機を購入する場合に、地方自治体に申請できる助成金・補助金制度。
果たして個人購入では申請できるのでしょうか?
【結論】除雪機の助成金を「個人」が貰うことは出来ない
結論から言うと、除雪機購入の助成金・補助金制度に関しては、個人を対象としていません!
非常に残念ですが、当たり前と言えば当たり前ですよね。
国や都道府県・市町村などの自治体が、民間に助成金や補助金を支給することは、「生活」に関連することや「事業」に関連することにほぼ限られています。
個人がする除雪作業は、あくまでも個人の自由意思によって行われる行為です。
そこに税金の一部が投入されるということは、やっぱり難しいと思います。
除雪機購入の助成金・補助金制度は「時代の要請」
助成金や補助金というのは、税金の一部が民間に投入される行為です。
それゆえ、市町村民の生活維持に関連することや、農業・林業・水産業の第一次産業保護、自治体による新規民間事業の育成、自治体の事業行為に関連する事業者や法人向けに対するものがほとんどです。
では、なぜ除雪機や除雪に関する助成金や補助金制度が、各自治体により設立されているのでしょうか?
現在でも、雪国を中心とした地方自治体は、県を含めてそれぞれが地元の土木建設業者と契約を結び、除雪作業を行っています。
しかし、90年代までは、現在よりももっと予算の大きい特別契約による除雪作業を行っていました。
あくまでも一つの例ですが、ある地方自治体は、例年11月から3月までの5か月間に渡り、建設業者と除雪契約を結んでいましたが、その内容は、「その期間は毎日、除雪作業に備え、随時作業する」というもの。
つまり、自治体と契約を結んだ除雪業者は、少しでも雪が降れば、即、除雪出動するというものです。
そうやって自治体は、これまで地域の道路事情を保全確保していたのです。
しかし、近年、全国の地方自治体はそのほとんどが厳しい税収減による予算削減の必要に迫られています。
そのため現在では、以前のような特別な長期除雪契約ではなく、自治体が天気予報などで降雪状況を判断し、その上で除雪業者に作業を依頼する「一回契約」になっています。
このように、除雪予算が削減したことにより、除雪作業そのものの回数が減ったことで、除雪作業を請け負う土木建設業者が減りつつあります。また、予算が限られているため、降雪量がそれほど多くない場合は、幹線道路のみに除雪作業を行い、交通量の多くない道路や、住宅街などの除雪は業者に依頼しないこともあるのです。
現在、自治体としては、新たに除雪を請け負う業者を増やすことに加え、自治体の除雪作業の”手が回らない”ような道路や地域の除雪は、出来るだけその地域住民に行ってほしいという意向があるのです。
除雪機購入に関する助成金や補助金の制度はこういった諸事情により、近年増えつつあります。
助成金・補助金申請が可能な団体とは?
近年、増えつつある地方自治体による除雪機購入の助成金・補助金の申請対象となっている「団体」は以下の通りになっています。
除雪業者は当然、申請可能
90年代まで、各土木建設業者はこぞって自治体との除雪契約を結びたがっていました。
除雪シーズンと言えば、土木建設業にとっては仕事の少ない時期。その時期に長期かつ予算の大きな契約を自治体と結べるのですから、業者としては”ありがたい”仕事だったのです。
しかし現在は、除雪予算の削減により、全体的な請負料も減ったため、除雪作業を断る業者も増えてきました。その原因は人件費だけでなく、高額な除雪車や大型除雪機の購入費用や維持費用の負担が大きいからです。
そのため自治体は、除雪作業の請負いを条件として、除雪車・大型除雪機の購入費用の最大半分程度を、助成金や購入補助金として給付する制度を設けています。
町内会・自治会の共同購入も可能
個人の申請は無理ですが、町内会や自治会での共同購入の場合、自治体はその購入費用の一部を助成金や補助金の形で給付する場合があります。
その審査条件は、もちろんその町内会や自治会の管理する土地や道路の除雪作業を行うことです。
また、一般道や、場合によっては私道の除雪もその対象となります。
除雪予算の削減による自治体の除雪回数の削減や、除雪範囲の縮小のため、地域によっては出来得る限り、住民作業により除雪を行ってほしいという意図があることは言うまでもありません。
また、高齢化により、人力での除雪が困難となってきた地域事情もその理由の一つに挙げられます。
自治体職員による除雪作業や、業者に依頼して行う除雪作業の人件費に比べれば、除雪機購入の一部を負担した方が、結果的に安上がりとなるからです。
場合によってはガソリン代の補助も
除雪機購入に関する助成金・補助金の制度を設けていない自治体でも、除雪機の燃料費に関する補助や、民間業者に除雪作業を依頼した場合、その費用の一部を負担する補助制度を設けている自治体もあります。
しかし、これは当然審査が必要となるため、期待しすぎてアテが外れてしまう場合もあるでしょうし、また、無制限ではありませんので、基本的には自己負担で支払った費用の一部が支給されるというレベルで考えた方がよろしいと思います。
助成金・補助金の申請可能な地方自治体一覧
ここからは、除雪機に関する助成金や補助金制度を設けている地方自治体をご紹介します。
ただし、ここでご紹介する自治体はその一部です。興味のある方は、ご自分でお住まいの自治体にご確認してください。
除雪機の購入に関する助成金・補助金制度のある自治体
- 北海道…札幌市
- 山形県…鶴岡市、尾花沢市、大石田町
- 宮城県…七ケ宿町
- 福島県…会津若松市
- 新潟県…新潟市、上越市、三条市、燕市、村上市、柏崎市、妙高市
- 長野県…上田市、飯山市、山形村
- 埼玉県…秩父市、皆野町
- 富山県…滑川市
- 石川県…金沢市、小松市、輪島市、能登町
- 福井県…敦賀市
- 兵庫県…豊岡市、宍粟市
- 奈良県…三郷町
- 滋賀県…東近江市、彦根市
- 岡山県…鏡野町
- 島根県…松江市
- 鳥取県…鳥取市
- 広島県…能美町
除雪機購入以外で、除雪に関する補助を行っている自治体
ここからは除雪機の購入以外の補助制度を設けている自治体の一部をご紹介します。
内容としては、「燃料費」、「除雪活動費」、「除雪業者に依頼した場合の費用」「自治体所有の除雪機の貸し出し」等です。
各自治体に詳しい内容を確認するとともに、ここにご紹介していない自治体でも、補助制度を設けている自治体があると思いますので、いずれにせよご自分で確認ください。
- 北海道…北広島市、帯広市、愛別町
- 山形県…東村山郡全域、酒田市
- 秋田県…秋田市、横手市
- 岩手県…滝沢市
- 新潟県…見附市、十日町市
- 長野県…山ノ内町
- 東京都…八王子市
- 富山県…富山市
- 福井県…福井市、勝山市、永平寺町
- 京都府…全域にレンタル除雪機の燃料費一部負担
まとめ
以上で、除雪機の購入に関する助成金や補助金に関する解説は終わりです。
基本的には「個人」と関連しない助成金・補助金って感じですね。あまり関係のない人の方が多いことは間違いありませんが、町内会や自治会での共同購入という手段があることは、思わぬ発見だった人もいるのではないでしょうか。
除雪機ユーザーなら誰もが実感することですが、一度、除雪機での除雪を体験すると、なかなか人力除雪には戻れませんよね?ご興味のある方は、一度ご近所の人とご相談してみてください。
共同清掃等が実施されている町内会や自治会なら、「共同除雪」もアリだと思いますよ!