「除雪機のエンジンがかからない」
そんな時は「カブり」・「燃料系」・「バッテリー」のトラブルを疑いましょう。それぞれ原因と解決方法を解説します。
一番多いのが「カブり」です。ガソリンが点火プラグにカブったことにより点火できなくなった状態のことです。
エンジンがかからない原因のほとんどが、この「カブり」なので、解決方法を少し詳しく解説しています。
その他にも「キャブレーターの詰まり」や「エアクリーナーのエレメント」が原因ということもあるので、そちらについてもあわせて解説します。
2018-19年シーズンは暖冬となりましたが、近年の豪雪には悩まされた方も多いはず。
そんな経験から、思い切って除雪機を購入した方もたくさんいらっしゃるとおもいます。ただ、なにせ除雪機は専門機械!
一度トラブってしまうと、普段の生活とは全く縁のない複雑な機械との格闘が待っています。
そんな除雪機のトラブルで最も多いのが「エンジンがかからない!」というものなんですよね。
今回は、そんなエンジントラブルの原因や対処方法について解説します。
除雪機のエンジンがかからない3大原因を分かりやすく解説
【1】購入したばかりなのにエンジンがかからなくなった! そんな時はほとんどがコレ!(カブりについて)
(1)かかっていたエンジンが途中でストップ! エンジンがカブる主な原因は?
購入したばかりの除雪機なのにエンジンが途中でストップしてかからなくなった!
エンジンをかけている途中で「プスプスッ・・・」と音がして止まったまま動かない!
このようなトラブルを「カブり」と言います。一度発生すると対処なしではエンジンがかからなくなるこの「カブり」はなぜ起きるのか?
その原因は大きく2つあります。
「エンジンオイルの入れすぎ」か「チョークレバーの操作ミス」です。
この2つのいずれか(もしくは両方)が原因で、エンジンの点火プラグが必要以上にオイルを「カブった」ために、プラグが濡れてしまうと点火できなくなります。これがエンジンがかからないということなのです。
エンジンオイルの入れすぎ→適正量に入れ直す
「オイルの入れすぎ」に心当たりがある場合は、とにもかくにもオイルを適正量に調整しなければなりません。
オイルを抜いて適正量に調節するか、抜いたオイルがかなり汚れていた場合は、一度全部オイルを抜いて、新しいオイルを適正量に入れなおした方がいいでしょう。
チョークの操作ミス→正しい操作を理解する
「チョークの操作ミス」については、もう一度チョークの操作を理解する必要があります。
まずエンジンをかけるときチョークは「開いた」状態にしておきましょう。エンジンがかかった後は「徐々に閉じながら」エンジンを暖気します。そして、いざ除雪作業を開始する時には「完全に閉じなければ」なりません。
また、エンジンがなかなか始動しないからといって、チョークを開いたままで10回以上リコイルを引いてエンジンを始動させようとすることもNGです。スパークプラグが「カブる」ことがあります。
スパークプラグがカブってしまったと考えられる場合は、プラグを取り外してガソリンを拭き取る必要があります。それ以外にもカブる場所があるので、燃料コックやエンジンスターターのスイッチ等、別の部品・場所もチェックして原因を探ってください。
念のため、もう一度除雪機のマニュアルと、除雪機本体のチョークレバーの位置マークを確認し、以後はチョークレバーの操作ミスを行わないようにするといいです。
その上で、エンジン始動時はエンジンの音をよく聞きながら、チョークの開け閉め調整をしていくことが必要となります。
エンジンをかける時は「開いて」、運転時は「閉じる」。これがチョークレバーの基本ルールです。
(2)原因が分かったら、次は点火プラグをチェック!
エンジンがかからない原因が点火プラグのカブりだと分かれば、今度は実際に点火プラグをチェックしなければなりません。具体的には点火プラグを掃除するということです。
プラグを取り外して布で拭く
マニュアルに沿って除雪機のエンジンブロックから点火プラグを取り外し、プラグの点火部分(ネジのような形状で細い突起が付いている部分)が少し湿っていたら100%カブっています。また、湿りが感じられなくても、一応は掃除をした方がいいでしょう。
ウェスなどの清潔で毛羽立ちのない布(ティッシュやタオルは避けた方がいいです)でプラグの点火部分を丁寧に拭きましょう。
ライターであぶってもOK
ただ、それだけでは完全に湿った状態が治まらない場合がありますので、100円ライターで点火部分をごく軽くあぶるように乾かすのも有効です(あぶりすぎは当然NGです)。
点火プラグが寿命なら交換を
また、何年か稼働させた除雪機の場合、点火プラグの寿命ということもありますので、その場合は点火プラグを交換しなければなりません。ホームセンターで同タイプの点火プラグを購入し交換しましょう。
プラグを戻す前にやること
点火プラグのチェックが終了したら、プラグを除雪機に再装着する前に、チョークを「開けて」リコイルを20回程度引き、シリンダーに溜まっている恐れのあるオイルを追い出す作業をします。
そして点火プラグを除雪機に装着し、こちらもチョークを「開けた」状態でリコイルを引きエンジンを始動します。10回ほど引いても始動しなかった場合は、チョークを「閉めて」エンジンを始動させます。
それでもかからない場合は点火プラグの再チェックや、燃料コック、スタートスイッチ等をチェックし、全て正常の場合は、別の原因を考えなければなりません。
比較的新しい除雪機の場合、ほぼ90%がこの作業でエンジンがかかるはずです。
【2】「カブり」以外で除雪機のエンジンがかからない主な原因はコレ!(燃料系とバッテリー)
エンジンオイルやガソリンなどの燃料系トラブル
燃料コックは開いているか?
「カブり」が原因でない場合にまずチェックしなければならないのは、ガソリンを送る燃料コックが開いているかどうかです。当たり前のようでこの原因は意外に多いんですよね。
燃料コックを開けばガソリンが供給されるようになるので、エンジンがかかります。
エンジンオイルやガソリンに過不足はないか?
次に考えなければならないのが、ガソリンやエンジンオイルがマニュアル通りに「適正」かどうかです。
ガソリンやオイルの「入れすぎ」はカブりの原因になるだけでなく、エンジンの不完全燃焼を起こす原因にもなります。
また、当然ですが「エンジンオイルの交換をしていない」ためのオイル汚れや、オイルが少ない状態での運転も、不完全燃焼やエンジン不調の原因となります。
これらの状態を長く続けると、エンジンの本格的不調を引き起こす原因となり、エンジン洗浄等のメンテナンスの必要が出てくる可能性があります。
また、シーズンオフの保管時もガソリンやオイルについてはマニュアルを厳守してください。エンジン不調の原因となる可能性があるので注意してください。
バッテリーは大丈夫か? もしかしてバッテリー上がり?
いろいろチェックしたにも関わらず、エンジンがかからない。そもそもエンジンを始動させようとしても「セルが回らない」。このようなケースは自動車と同じく「バッテリー上がり」が考えられます。
バッテリー上がり/保管時がポイント
除雪機のマニュアルをチェックし、バッテリーの電圧をチェック。その上でバッテリーが上がっていた場合は、バッテリーの再充電を行なわなければなりません。
そもそも、除雪機を所有する場合、小型バッテリーの充電器は必要不可欠となります。シーズンオフの保管期にはバッテリーの再充電の必要があるからです。
小型バッテリーの充電器に関してはホームセンターで普通に売っていますから、購入したあと、除雪機のマニュアルと充電器のマニュアルをよく読み、除雪機バッテリーのメンテナンスを行ってください。
また、バッテリー上がりに関しては、スイッチの切り忘れ以外、オフシーズンの保管時の取り扱い方が原因となることがほとんどです。除雪機のマニュアルを参照し、保管時のバッテリーの取り扱いには十分注意してください。完全に取り外した上で室内に保管し、定期的に電圧チェックや再充電することも一つの手です。
【3】プラグも燃料系もバッテリーもチェックした!なのにエンジンがかからない時の原因は?(キャブレーターとエアクリーナー)
中古の除雪機だと、プラグや燃料系、バッテリー以外にもエンジンがかからない原因がいくつか考えられます。
それは「キャブレーターの詰まり」と「エアクリーナー」です。
(キャブレーター詰まりとエアクリーナーのトラブルは、新品や比較的新しい除雪機とはあまり関係ないトラブルになります)
キャブレーターが詰まっているかも?
何年か稼働した除雪機で、通常のトラブルチェックを行ったにも関わらず原因が特定できない。
こうなるといよいよエンジンブロックの不調ということになります。機械に詳しい人ならともかく、普通の人には少々荷が重いジャンルです。
ただ、エンジンブロックの不調で最も多い原因が「キャブレーターの詰まり」となります。
何年も稼働させた除雪機で不完全燃焼を長期間繰り返した場合、エンジン燃焼時に出る汚れやススがたまり過ぎてしまい、最終的にはキャブレーターが詰まり気味になり、燃焼に必要な混合気が作れなくなります。そのためにエンジンがかからなくなるという訳です。
機械に自信がある人ならば、除雪機のエンジンは単純構造なものがほとんどですから、手順通りにエンジンブロックを取り外し、分解した上でキャブレーターを洗浄し、再度組み立てるだけですが、もちろんメーカーの推奨ユーザーメンテナンス項目ではありません。作業は完全に「自己責任」となります。自信がある人以外は、やはり業者やメーカーにメンテナンスに出すのが無難です。
大型除雪機の場合はエアクリーナーのエレメントもチェック!
もし、所有している除雪機が大型の場合ですが、エアクリーナーのエレメント(フィルター)が詰まっていると、不完全燃焼を起こしエンジンがかかりにくくなります。
ですが、この場合はおそらくマニュアルにメンテナンス方法が記載されていると思いますので、マニュアル通りにエレメントを交換すれば、エンジンのかかりが良くなると思います。
まとめ
除雪機のエンジンがかからない原因は、次の理由が考えられます。
- ガソリンのカブり
- エンジンオイルの過不足
- チョークの操作ミス
- 燃料コックが閉まっている
- ガソリンの過不足
- バッテリー上がり
- キャブレーターの詰まり
- エアクリーナーのエレメント詰まり
以上、除雪機のエンジンがかからない原因をいろいろと取り上げてきました。
最近は小型除雪機の種類も多くなり、価格も下がってきたため、個人で購入することを考えている人も多いかと思います。
しかし、値段が下がったとはいえやはり除雪機は高価なシロモノです。高すぎる買い物に決してならないよう、今回の情報と共に除雪機のマニュアルを正しく実行し、快適な除雪ライフを送ってください。