めんどくさい除雪シーズンが終われば、今度は、除雪機のメンテナンスや長期保管を考える時期となります。
その時、除雪機を普段置いている場所から、別の場所に移動して保管しようと考えたことはありませんか?
そんな時に問題となるのが、「どうやって除雪機を移動させようか?」ということ。
わざわざエンジンをかけて室内に移動させたくないし、大型の物置小屋に保管しようと思っても、やはりエンジンの排気ガスが十万するのは避けたいと思うのが普通ですよね。
このような除雪機の移動問題は、除雪中のエンジントラブルに関しても同じこと。エンジンが動かない状態で、どのように除雪機を移動すればいいのか?ついつい考え込んでしまいます。
今回は、エンジンを始動させずに除雪機を移動させる方法について、いろいろと考えてみます。
除雪機を移動するにはエンジンをかけないと無理?【除雪機を簡単に移動させる方法】
除雪機はエンジンを始動させないと移動できないの?
エンジンが止まっていても移動出来る除雪機は存在するのでしょうか? そんな便利機能を持つ除雪機を確認してみます。
除雪機は基本的にはエンジンを始動させて移動するもの
除雪機の移動方法の基本は、やはり”エンジン動力によって”というのが基本的な考え方です。
いろいろなメーカーを調べてみたのですが、エンジンを使わずに移動出来る機能を持つ除雪機はほとんどありませんでした。
盗難面でのセキュリティ機能も考えて設計されている自動車などと違い、除雪機にはあまりそのような考えに基づいた設計思想はありません。
ですから、「保管時はエンジンキーを抜いて」と、当たり前のことをマニュアルで強調しているのではないでしょうか?つまりそれは、「除雪機を動かすには、エンジンを動かすしかない」という発想です。
さすが国内トップシェア!ホンダ除雪機の無エンジン移動方法
「エンジンがかからなければ動かせない」除雪機ですが、業界トップのホンダだけは、エンジンを始動させなくとも移動できる機能を除雪機に組み込んでいます。
まずひとつ目は、現在のところホンダ除雪機のみの機能となっている「ハイブリッドエンジン」です。
ガソリンエンジンと電気モーターの二つの動力を持つため、単純移動の場合は、電気モーターのみの移動が可能です。
ハイブリッドの基本機能ではありますが、よくよく考えると、やっぱり便利な機能ですよね。
またホンダは、非ハイブリッドの小型除雪機のみの機能として、「手動切り替えレバー」機能を除雪機に装備しています。
通常はエンジン動力用の”自走”になっているのですが、そのレバーを”手動”に切り替えると、エンジンを始動させない状態で、除雪機を人力にて移動させることが可能となっています。
これは意外に便利な機能で、なぜ他メーカーがこの機能を取り入れないのか、以前から不思議に思っています。特別な技術特許には当たらないと思うのですが……。
除雪機を簡単に移動させる裏技!
除雪機の移動はエンジン動力で行うことが基本ということは分かりました。しかし、実は、エンジンをかけずに除雪機を移動させる方法はあるんです!
ここでは、そんな除雪機移動のちょっとした”裏技”をご説明します。
クローラやタイヤのシャフトピンを抜けばよい
除雪機のクローラ(キャタピラ)やタイヤは、自動車などと同様に着脱が可能となっています。
「外したらそもそも動かないじゃない?」と思うなかれ。
クローラやタイヤは除雪機のエンジン動力軸とつながっていることはご存知の通りです。ですからクローラやタイヤではなく、それらを除雪機につなげている「シャフトピン」を抜けばいいのです。
シャフトピンを抜くと、クローラやタイヤは、動力軸から自由になり、”空回り”出来る状態になります。つまり、クローラやタイヤが自由に動く状態で、除雪機を人力で動かせばいい訳です。
もちろん、動くからと言って乱雑に扱うと、動力軸自体からクローラやタイヤがずれ落ちる可能性があります。
またクローラやタイヤがずれた状態で除雪機を無理に動かすと、除雪機の自重で動力軸やタイヤの着脱穴がゆがむ可能性がないとは言えませんので、シャフトピンを抜いた状態での移動はくれぐれも慎重に行ってください。
かなり便利な簡易車庫
除雪機関連の部備品を販売しているPLOW(プラウ)では、小型・中型除雪機の「簡易車庫」を販売しています。
コンテナ式のメッシュパレット(金網)で出来ているこの簡易車庫ですが、耐荷重量は1トンあり、除雪機が乗っても全く問題ない設計となっています。
また、小型スロープが装備されているので、除雪機の格納や搬出もスムーズに行えるようになっています。
なによりこの簡易車庫、4脚合計1トンの重量に耐える頑丈なキャスターが付いているため、除雪機が乗った状態で、台車を押すかのように簡単に動かすことが可能なのです。
つまり、この「簡易車庫での移動」とは、除雪機を動かすのではなく、除雪機そのものを”運ぶ”訳です。
一度格納してしまえば、どこにでも移動はスムーズですし、なにより除雪機そのものが自走する訳ではないので、この簡易車庫を使えば、除雪機の室内保管も可能となります。
除雪機の長期保管にとって水や湿気は最大の敵ですから、室内保管が可能となると、そういった心配からはかなり解放されます。値段はそれなりにしますが、この簡易車庫はかなりの便利グッズだと思います。
ちょっと変わった除雪機?
ここではちょっと変わった除雪機をご紹介します。エンジンで”自走しない”除雪機です。
ヤマハの”手押し式”除雪機
ヤマハのコンパクト(小型以下)除雪機の「ゆっきい」は、除雪機能にのみエンジン動力を使用し、移動は人力で行うというちょっと変わった除雪機です。
除雪機底面に、雪の抵抗が少ない高密度ポリエチレン樹脂製の大型ソリが装着されているため、少ない力で雪上をスムーズに移動できる設計になっています。
ちなみにこの高密度ポリエチレン樹脂は、同じくヤマハ除雪機の「ジェットシューター」に使用されているものと基本的には同じもの。摩擦係数が非常に少ないため、女性でも楽々手押し出来るという訳です。
また、大型ソリだけでなく、移動用ホイールも装備されていますので、雪のない場所ではホイールを使用しての移動が可能となっています。
しかしこの「ゆっきい」、”楽々”押せるのは本体重量41kgという小型超軽量であるからこそ。エンジンもかなり小さいものとなっていますので、除雪機能も限られたパワーしかありません。あくまでも玄関などの自宅周りの除雪に利用することを想定したコンパクト除雪機となっています。
まとめ
今回は、エンジンを始動させずに出来る「除雪機の移動」について調べてみました。
除雪機を初めて使用した時、思ったよりも多い排気ガスの量に驚いた人は少なくないはずです。そのため、除雪機の保管を室内や物置小屋にしようとしても、あの排気ガスはどうしても気になってしまいます。
また、除雪中のエンジントラブルが起きた時、「どうしよう?」と考え込んだ経験がある人もいるのではないでしょうか?
購入する前には全く考えたことなどない反面、買った後に何気に「あれ?」っと思う除雪機の移動問題ですが、これまでそんな困った経験があった人も、また、これから除雪機を購入される人も、今回の情報をぜひ参考にしてください。